能の世界には「墨染桜」というのがあるそうだ。
今日の新聞で知ったホットニュース。
「深草の野辺の桜し 心あらば今年ばかりは墨染めに咲け」
古今和歌集の上野峯雄(かみつけのみねお)の歌を基に作られた作者不明の金剛流の能。
出家した上野峯雄が先帝遺愛の桜を眺めていると桜の精が女人となって現れ、弟子になりたいと懇願する。
峯雄が許し剃髪すると盥の水には桜の花影が映っていたという。
先帝薨去の悲しみで上野峰雄は出家したのだろうか、中世人なら当然わかっていたことが無教養でわからないのが哀しい。
さくらの「写真」では鈴木理策の撮った吉野のさくらが網膜に張付いて剥がれない。
見る者が吸い込まれるようなさくら、さくら。
日本のさくらには、花より団子の浮かれざくらと同時に、人を神秘に誘い込む精が同居しているようだ。
ちょっと気取って書きすぎたかな?(ん、カッコ付けすぎと心の声が云っている)