夕暮れ時、薬師様の参道前の道に俄かに人の通行が繁くなってきた。
行く人来る人さまざまで一篇の劇場舞台を見るような感じ。
市井の風景として撮ったものだが、やっぱり、夕暮れでなければ面白さに欠けただろうと思うと、
夕暮れとはなんだろうということに思い至った。
夕暮れと朝ぼらけでは、人に与える感情は別物だ。
なぜ、夕暮れは人にせつない感情を呼び起こすのだろうか。
夕暮れの物悲しさ、夕暮れの風景に感じる懐かしさ、どこかでどこかで出会ったことがあるという既視感は、
どこから生まれてくるのだろうか。
その答えのひとつが谷川俊太郎の詩にあるようだ(ただし、ここで詠われているのは大都会のビルの夕景であるが)。
谷川俊太郎「夕景」(「朝日新聞」2010年02月06日夕刊)
たたなづく雲の柔肌の下
味気ないビルの素顔が
夕暮れの淡い日差しに化粧され
見慣れたここが
知らないどこかになる
知らないのに懐かしいどこか
美しく物悲しいそこ
そこがここ
いま心が何を感じているのか
心にも分からない
やがて街はセピアに色あせ
正邪美醜愛憎虚実を
闇がおおらかにかきまぜる
★谷川俊太郎の詩に、こういうものがあるのは下記「谷内修三の読書日記」で教えてもらいました。
http://blog.goo.ne.jp/shokeimoji2005/e/b5971d694d1e4c6386bc09781d72874d