「あなたはすでに死んでいるわ!」
「ふん、満足だわ。悔しかったら爛熟してごらん」
「お二人ともお気の毒に。オクタヴィアンはわたしのものだわ」
ーーーー妄想のイグ・シュトラウス「薔薇の騎士」
薔薇の名は貴婦人なれど寄れば棘 高橋泉也
白薔薇の清楚を人は愛すべし 西村舟津
このように眇めで僻んでいた「俳聖」もいたのだ。
もちろん普通の人は薔薇を詠めば絶賛する。
薔薇の名はマリアカラスや燃える赤 森本恭生
幸福な人だ。花の名になった当のマリア・カラスはそうともいえないらしいが。
愁ひつつ岡にのぼれば花いばら 蕪 村
蕪村の句は野薔薇だけど紅か白か?たぶん白だ。
全輸血了りぬ薔薇を換へくれぬ 石田波郷
赤い薔薇だろう。
垣の薔薇白きがちりて怪しろし 水原秋桜子
妖しさが魅了する花なのだ。
青空の青ふかく薔薇傷みけり 木下夕爾
これも妖しさだ。
ばら剪つてすでに短命にはあらず 寺田京子
うむ、ばらは意外にしぶといのだ。
名は忘れ同窓の笑い薔薇の部屋 成木 文
こんなときに似合う花でもある。虚飾の花か。
最後に例の根岸の里の句を見つけた。なんと正岡子規である。
茨(バラ)さくや根岸の里の貸本屋
クダラネー。
根岸の里を付ければなんでも俳句になるという落語は本当だったのだ!!