さくらは美しい。
だが,どこが人を夢中にさせるのかと問うと答えるのは難しい。
日本画家が格闘したさくらの描きかたも様々だ。
写真家では鈴木理策が写した吉野のさくらが、さくらの美しさを外形的に表現するのではなく、
写真を見るものを画面の中に吸い込むような、いわば体感させるさくらの写真で、
絵筆のように自由にならないカメラで撮った写真の中ではわたしが一番好きなさくらの写真だ。
画家が絵でさくらの美を全力で表現して、見る者をうならせようとするのに対して、
鈴木理策は写真でさくらを見せるのではなく、体感させようとした。
どう体感するかは見る者の勝手だ。(それは絵でも写真でもイメージ表現では同じことだが)
わたしにはそんな芸当は出来ないから、毎年、自分用の「メモ」を撮って自分の中にしまっておくだけだ。