「鳥の母親--舞踊」
昭和31年制作のブロンズ。
鳥の嘴のような帽子を被った男のような体つきの女が、豊満で凶暴な怒れる乳房を突き出している。
横目で斜め下を見る眼の表情は冷ややかで嘲るようでもあり、あるいは自由に飛ぶことを諦めてしまった眼のようでもある。
「鳥」ではなく「鳥の母親」というタイトルもわけがわからない。
それでもこの表情と巨大な乳房は、目にする者の足をしばらく止めさせ、彫像と対峙させる。
不思議な彫像だ。
※昭和30年は、経済白書(都留重人)が「戦後は終った」というキャプションをつけたので有名。
だが、経済は戦後の復興経済を完了させた「朝鮮動乱特需」が終って、「なべ底景気」といわれた不況の時代だった。
やがて日本経済はアメリカのベトナム戦争(ベトナム特需)で高度成長期を迎える。
こんな時代背景は西望に無縁かもしれないし、あるいは長崎の平和の彫像の作者に複雑な影響を与えたのかもしれない。