この彫像は井の頭公園の自然文化園の野外に、いわば放置に近い形で展示されている北村西望の作品である。
北村西望というのは、長崎の「平和の像」を作ったあの人で、東京芸大教授も務めたことがあるという人で、井の頭公園にわんさか、ごろごろあるこの人の彫像は、以前眼にしたときはあまり感銘を受けなかったのだが、なぜか今回は写真に撮ってみたくなったのだ。
それは、野外にあるこの二つの彫像を見たとき、ヨコハマで見た埴谷(←般若)雄高展にあった「空」の思想を説く釈迦が洞窟に篭もる「絶対的虚無」を奉ずる竜樹と対決している絵を思い起こさせたからだ。
わたしに物凄い印象を残したこの絵がコードとなって、今回はこの不思議な狛犬とこの怒りと哀しみにもだえるような男の彫像を撮らせたのだ。
なんだか西望という人を知りたくなってwikipediaを開いたがたいした情報は得られなかった。
むかし見たとき、あまり感心しなかったのは一見儒教思想のように感じたからだ。
でもいまは仏教思想に何か繋がりがありそうな気がする。
彫像から「おまえは何者だ」と問われているような感じがする。
深い怒りは慈悲。